AIに「作って」と頼む前に——チェックは"後"ではなく"前"に置く
最近Xで、「非エンジニアでもAIに自動化ツールを作らせる」という話がよく伸びています。プログラミングができなくても、AIに頼めば、日々の面倒な作業を自動でやってくれる仕組みが作れる。いい時代です。
ただ、ここでとても多い失敗があります。AIに「これを自動化するツールを作って」といきなり頼んで、長い時間待った末に、使えないものが出てくる——というパターンです。今日は、この"作り直し"を消すための、たった一つの順番の話をします。
いきなり「作って」と言うと、なぜ失敗するのか
AIは、頼まれたとおりに動きます。「作って」と言えば、その瞬間から全部を一気に作り始める。素直で優秀です。でも、素直すぎるとも言えます。
最初の思い込みが少しズレていても、AIはそれに気づかないまま、最後まで走り切ります。そして出てきた完成品を見て、あなたは「そうじゃないんだよな」と気づく。ここまで来てからの修正は、作り直しに近い。時間をかけたぶん、丸ごと無駄になります。
たとえば「毎朝、いくつものExcelから数字を集めて日報にまとめるツールを作って」と頼んだとします。いきなり作らせると、最後に見たときに「集計の切り口がそもそも違う」と分かる、みたいなことが起きるわけです。
チェックは「後」ではなく「前」に置く
ここで多くの人が見落としているのが、チェックするタイミングです。
たいていの人は、"出来上がったもの"を確認します。もちろん大事です。でも、出来上がってからのズレは、直すのに時間がかかる。一方で、"作り始める前"に一度確認すれば、ズレは一瞬で直せます。まだ何も作っていないんだから、言い直すだけで済むんです。
だから、順番をこう変えてください。「作って」の前に、「どう作るつもりか、先に見せて。OKを出すまで、実際には作らないで」と一言そえる。たったこれだけで、長時間の作り直しが、ほとんど消えます。
作る前に、見ておくと良い2つ
「作り方を見せて」と言われても、非エンジニアだと何を見ればいいか分からない、と思うかもしれません。難しくありません。次の2つを、AIに言葉で説明させて、あなたが読んで違和感がないかを見るだけです。
① どんな手順に分けるか
いきなり全部を1つの塊で作らせない。「まずこれをして、次にこれをして」と、AI自身に手順を並べさせます。並べさせると、あなたが「その2番目、順番おかしくない?」と気づける。AIの頭の中が、先に見えるようになるということです。
② 繰り返し使う部分を、部品として切り出せないか
作業の中で、他でも使い回せそうな部分——たとえば「決まった形式で表にまとめる」のような処理——は、独立した"部品"として切り出しておく。(Claudeではこれを「Skill」と呼びます=よく使う手順を、1つの部品として保存したものです)。こうしておくと、次に別のツールを作るとき、その部品をそのまま持っていける。一度作ったものが、資産として残ります。
この2つを、作り始める前に押さえておくだけで、出来上がるものの質が変わります。
数分の遠回りが、数時間を守る
これは、面倒に感じるかもしれません。作りたいのに、いったん止めるわけですから。
でも、ここで止まる数分が、あとの数時間を守ります。作り始めてからの「そうじゃない」は高くつく。作る前の「そうじゃない」は、タダみたいなものです。急いでいるときほど、先に一回止まる。この差は、使えば使うほど効いてきます。
これは「最終確認は人」の、前倒し版
以前、AIに任せきりにしない——「最終確認は人」という記事で、"出来たものは人が最終確認する"と書きました。今日の話は、その確認をもう一段"前"にも置く、というものです。
作る前(段取り)で一度、作った後(完成品)でもう一度。人が見るのは、この2か所だけ。手を動かすのはAI、要所で判断するのは人。この形が、いちばん速くて、いちばん失敗が少ないです。
まとめ
AIに自動化ツールや仕組みを作らせるとき、いきなり「作って」と言うと、長い時間の末に使えないものが出てきがちです。防ぎ方はシンプルで、「作る前に、どう作るつもりかを見せて。OKしてから作って」と一言足すだけ。チェックを"後"から"前"に動かすと、作り直しが消えます。
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