AIセッションを同時に3本走らせると、一日中まともに集中できない
複数のAIに同時並行で仕事をさせて、次々と通知を確認する。傍から見れば効率的に見えるこのやり方に、実は落とし穴がある、という指摘を見かけました。
人間は、並列処理ができない
前提として、人間の脳は並列処理ができません。ある研究では、一度中断されたタスクに完全に集中し直すまで、平均で23分以上かかるとされています。
AIのセッションを3本同時に走らせて、それぞれから10分おきに通知が来るとしたらどうなるか。一つの通知に反応するたびに集中が途切れ、また元の作業に戻ろうとしたところで次の通知が来る。この繰り返しでは、一度も深く集中しないまま一日が終わってしまいます。AI側は並列で動いていても、それを見ている人間の側は、ずっと直列のままなのです。
「高級なショート動画」という例え
これを指して、AIの並列作業は「高級なショート動画」のようなものだ、という表現がありました。次々と短い刺激に反応するだけで、一つのことに深く向き合えない状態を指しています。
さらに厄介なのは、こちらの方がショート動画より質が悪くなりうる、という点です。ショート動画の切り替えは軽い刺激で済みますが、AIセッションの切り替え先には、それぞれ別の文脈や判断が待っています。切り替えるたびに背負う重さが、ショート動画とは比べ物になりません。
制限すべきは、本数ではなく「同時に抱える判断の数」
工場では、生産設備の能力を目一杯使うのではなく、あえて生産量を落とすことがあります。作りすぎがかえって在庫や混乱を生むからです。
AIの使い方にも、同じ発想が必要です。制限すべきは、同時に立てるセッションの本数ではありません。同時に頭の中に抱えている「判断すべきことの数」です。セッションを何本走らせていても、頭の中で同時に扱っている論点が一つに絞れていれば、集中は保てます。逆に、本数は少なくても、まったく違う種類の判断を同時に抱えていれば、同じように消耗します。
経営者・チームが今日からできること
同時に走らせるAIセッションの本数に、あらかじめ上限を決めておく。通知が来るたびに反応するのではなく、確認するタイミングをまとめて決めておく。この二つだけでも、切り替えのたびに削られる集中力を、かなり守れます。
AIを使いこなすというと、つい「同時にどれだけ多く走らせられるか」に意識が向きがちです。でも本当に効くのは、走らせる数を絞って、一つひとつに深く向き合える状態を保つことの方です。
まとめ
AIは並列に動けても、それを見ている人間は並列処理ができません。セッションを増やすほど仕事が進むように見えて、実際は集中が途切れ続け、消耗だけが増えていきます。制限すべきは本数ではなく、同時に抱える判断の数。走らせるAIの数を絞ることが、かえって成果につながります。
今回話してきた、AIを何本も同時に走らせているのに、なぜか頭がぼーっとして疲れることで困っていませんか?もしそうなら、一度セッションの本数を絞ってみてください。AI導入・業務自動化支援では、無理なく回せる運用の設計から一緒にやります。まずは60分の無料個別相談へ。